🌱 はじめに
Vtuberや配信者にとって、スパチャ(投げ銭)は重要な収益源です。しかし、その「お願いの仕方」次第では、軽犯罪法違反(乞食行為)と判断されるリスクがあります。
本記事では、
- 軽犯罪法における「こじき」の定義
- ネット配信・スパチャが問題になる理由
- Vtuberが安全に活動するための実践的なライン
について、法律と配信実務の両面から解説します。
⚖️ 軽犯罪法で禁止されている「こじき」
📜 軽犯罪法第1条第22号
軽犯罪法第1条第22号では、次の行為が禁止されています。
「こじきをし、又はこじきをさせた者」
つまり、正当な理由がなく、人に金品を要求し、又は恵んでもらうことを要求する行為がNGということです。
- 「正当な理由がない金品要求」
- 「同情を買う形での金品要求」
【補足】
軽犯罪法第1条第22号が「こじき行為」を禁止している背景には、こじき行為が社会に広がることで、善良な風俗が害されることを防ぐという明確な目的があります。
📖 法律上の「こじき」とは何か?
軽犯罪法における「こじき」とは、一般的に次のように説明されます。
- 不特定多数に向けて
- 同情・哀れみを誘い
- 生活費等のために
- 無償または、ほぼ無償で
- 金品を反復継続して求める行為
【注意】
「1回だけ」であっても、内容次第では問題となる可能性があります。
👶 「こじきをさせた者」も処罰対象になる理由
軽犯罪法第1条第22号は、「こじきをした者」だけでなく、「こじきをさせた者」も処罰対象に含めています。これは、過去に次のような事例が多かったためです。
- 子ども
- 病人
- 障害者
など、同情を集めやすい立場の人に対して、第三者が意図的にこじき行為をさせるケースが多数存在しました。
👉 本人ではなく、背後で指示・誘導している者
👉 弱者を利用して金品を得る構造
これを防ぐため、「実行者」だけでなく、背後で関与する者も処罰対象としています。
【注意】
Vtuber等の場合、Vtuber事務所も処罰対象となる可能性があります。現時点では事例はありませんが、タレントの行動次第では、今後事務所に対して指導が入るリスクがあることを理解しておきましょう。
🚨 スパチャは乞食行為か?
💡 違法行為ではない
「スパチャ自体は違法ではありません」
しかし、以下の要素が揃うと、「乞食行為」と評価されやすくなります。
- 直接的・継続的な金銭要求:スパチャ投げてくれないと配信できない
- 同情・圧力を使った要求:生活が苦しい
- 執拗・反復的なおねだり:数分おきにスパチャ催促/企画そのものがスパチャ要求
2015年2月24日には、香川県高松市で乞食行為により書類送検された事例もあります。
🔥 違法になった事例
2015年2月24日、香川県高松市において、「物乞い配信」を行っていた男性が、軽犯罪法違反(乞食行為)で書類送検された事例があります。
この男性については、約1年前から生放送で繰り返し乞食行為を行っており、視聴者から警察へ次のような苦情が寄せられていました。
- 「生放送での物乞いは不快だ」
- 「犯罪ではないのか」
書類送検前から、香川県警は男性を特定し、生放送での物乞い行為をやめるよう注意していましたが、男性はこれに従いませんでした。警察によると、
「自宅内で行われる物乞い行為は摘発が難しく、対応に苦慮していた」
とのことです。の後、男性が屋外に出て物乞い行為を行うという情報を入手し、警察官が張り込みを実施。屋外で物乞い行為をしていた男性を発見し、現行犯として任意捜査が行われました。警察は、
「軽犯罪法違反だからといって直ちに捜査するわけではないが、本件は、これまでの注意・警告や経緯を踏まえた結果、書類送検に至った」
と説明しています。
⚠️ 注意事項
重要なポイントは以下の点です。
「同情・哀れみを誘うような投げ銭を要求をしない」
もちろん、トークの一環として「生活が苦しい」や「今月大変」といった表現が出てくることはあると思います。ただし、そこに投げ銭を紐づけることは避けましょう。
- 「生活が苦しい」 → OK
- 「生活が苦しいから、投げ銭してください」 → NG
📦 Amazon「ほしいものリスト」は大丈夫?
💡 違法行為ではない
「欲しいものリストも違法ではありません」
投げ銭と同様に、リストを公開するだけであれば問題ありません。ただし、以下の要素が揃うと「乞食行為」と評価されやすくなります。
- 「生活が苦しいので送ってください」
- 「食べ物がなくて困っています」
👉 同情+金品要求の組み合わせはアウト寄り
🔥 実際の配信者の行動
ほとんどの配信者の行動は違法行為に該当しませんが、一部の配信者では、乞食行為に近い形で「ほしいものリスト」の購入を促すケースが見られます。
実際に、次のような発言を目にすることも多いです。
「マイクが壊れて配信ができない…私無職だ…誰か助けて…」
「本当に生活が苦しいから…お米買って下さい…」
現時点では検挙されていないため、配信者界隈では「乞食行為」という認識が薄いかもしれません。しかし、これらの行為は軽犯罪法違反スレスレの行為であると考えておくべきです。
【アンチの通報】
すぐに逮捕される可能性は低いと考えられますが、アンチによる通報リスクは非常に高い点には注意が必要です。
🧠 「乞食行為」は心理的に嫌がられる
⚡ 違法以前の問題
大前提として、「視聴者に同情を誘い、金品を受け取る行為」は違法行為であり、極力避けるべきです。ただ、それだけでなく、乞食行為に対して視聴者が強い不快感を覚えるケースが非常に多いという点も重要です。
視聴者からの不快感という観点から見ても、ブランディング上、乞食行為は避けるべき行為だと言えます。本章では、なぜ心理的にも乞食行為が嫌がられるのかを解説します。
😖 ファンは「感情を強制される」
乞食行為の最大の特徴は
「同情・哀れみという感情を相手に要求すること」
にあります。心理学では、人は自分の感情を他人から操作・誘導されることに対して、本能的な不快感を覚えます。
- 「同情しなきゃいけない空気を作られた」
- 「断ると冷たい人間に見える気がする」
この時点で、自由を奪われた感覚が生まれ、行為は「応援」ではなく「圧迫」へと変わります。この圧迫感が、視聴者に強いストレスを与えます。
💥 尊敬が崩れる
配信者である以上、視聴者からは多かれ少なかれ「タレント的存在」として見られます。つまり、視聴者は配信者を、ある程度「尊敬される存在」「価値を提供する側」として認識しています。
そのたタレントが、乞食行為をした時点で、
- 他人の感情に依存している
- 自力ではなく同情に頼っている
- 責任を外に投げている
といった印象を与え、「精神的に自立していない姿」として映ります。その結果、乞食行為をした瞬間に無意識の尊敬スイッチが切れ、「みっともない」「見ていられない」という感覚が生まれます。
👉 道徳違反というより「美意識・自尊感情のズレ」
⚖️ 「努力と報酬」の関係が崩れる怒り
一部の視聴者の中には、乞食行為に対して「ズルい」と感じ、怒りを覚えるケースもあります。
そもそも多くの人は無意識に、
努力 → 価値提供 → 報酬発生
という因果関係を重視しています。つまり、「健全なコンテンツに対して、対価が支払われるべき」という強い固定観念を持っています。
しかし乞食行為によってお金が発生すると、
感情の圧 → 無価値なのに → 報酬発生
この瞬間、「ズルをしている」「近道している」という印象が生まれ、尊敬ではなく軽蔑に近い感情が発生します。その結果、乞食行為に対して強い不快感や怒りが生まれるケースがあります。
😳 羞恥反応
乞食行為に対して、「恥ずかしい」と感じる人も少なくありません。
そもそも乞食行為には、生活苦や金銭不安といった、本来はプライベートで処理・解決されるべき問題が含まれがちです。
これを配信やSNSなど、不特定多数の前で表出すると、見ている側に「代理の恥ずかしさ」が発生します。
- 「みっともない…」
- 「ダサい…」
- 「情けない…」
- 「あぁはなりたくない…」
- 「恥ずかしい…」
これは、「公の場で弱さをさらす行為」に対して生じる共感性羞恥(代理羞恥)の反応です。この不快感から、人は自然と距離を取ろうとする行動に移ります。
