【あ行】
■挨拶(定型句)
配信の開始や終了、あるいは雑談の区切りなどで使われる決まり文句。たとえば「こん〇〇!」「おつ〇〇!」のような言葉が定番で、Vtuberごとの個性やファン文化を象徴する。ファン同士がコメント欄で一斉に同じ挨拶を投稿することで一体感が生まれる。キャラ性を印象づけ、リスナーが「帰ってきた」と感じる重要な儀式的要素。
■アーカイブ
配信終了後に視聴可能になる録画データ。YouTubeなどのプラットフォームでは標準的な機能で、配信をリアルタイムで見られなかったファンも視聴できる。Vtuber活動において「過去の活動の記録」として重要な役割を持つ。限定公開アーカイブ(URLを知っている人のみ視聴可能)にして、メンバーシップの特典にすることもできる。
■赤スパ
赤色で表示される高額スーパーチャット(1万円以上)を指す。スパチャの中でも特に目立つ存在で表示時間も長い。配信画面やチャット欄でひときわ強い存在感を放つ。ファンからの「特別な応援」「愛情の表明」として扱われ、配信者が長めに反応することも多い。記念日配信や誕生日などでは大量の赤スパが飛び交うこともある。ファン文化の象徴的な儀式とも言える存在。
■アバター
Vtuberが配信や動画で使用するキャラクターモデルのこと。2D(Live2D)や3Dモデルの形式があり、表情や体の動きをリアルタイムでトラッキングして反映する。髪や服の揺れ、まばたきなど細かい動作まで再現でき、視覚的な魅力を生み出す重要な要素。デザインや動き方はVtuberの世界観やキャラ性を決定づけ、ファンが抱く印象に大きく影響する。アバターの完成度は、そのままVtuberの「存在感」を左右する要因でもある。
■案件配信
スポンサー企業やブランドとのタイアップによって行われる配信。ゲーム実況、商品紹介、コラボ企画など形式は多様で、広告的要素を持ちながらもVtuber自身のキャラ性やトーク力を活かすことが求められる。企業にとっては自然な宣伝効果を生む場であり、Vtuberにとっては収益や知名度アップの機会。視聴者にとっても「推しが公式から信頼されている」という誇りを感じるイベントであり、成功すると双方にメリットが大きい。
■内輪ネタ
特定の配信者やリスナーの間でのみ通じる、ローカルなジョークや出来事を指す。仲間意識を強め、コミュニティを盛り上げる要素として機能する一方、初見の視聴者には理解しづらく、疎外感を生むこともある。
■FA(エフエー)
「Fan Art(ファンアート)」の略称。ファンが制作したイラストや創作物を指し、SNSでは「#FA」「#〇〇art」などのタグで投稿される。Vtuberにとっては自分のキャラを通して表現される愛情の証であり、ファンとの絆を象徴する。配信サムネやグッズに採用されることもあり、クリエイター文化との接点として非常に重要な領域。
■エンジョイ勢
自分自身の楽しさを最優先にして活動するVtuberを指す。数字や収益よりも「好きなことをやる」「趣味を共有する」ことを目的としており、自由でマイペースなスタイルが特徴。プロ意識よりも「楽しむ姿勢」が重視されるため、結果的に共感を呼びやすく、長期的に安定した人気を得る場合も多い。エンジョイ勢の存在は、Vtuber文化に多様性と温度差をもたらしている。
■推し
ファンが特に好きで応援している対象のVtuber。単なる好感度ではなく、感情的なつながりや尊敬、共感を含んだ概念。推しは“生きる活力”と表現されるほどファンの心を占める存在であり、配信の時間や日々の行動が推しを中心に回ることも珍しくない。推しを語ることは自己表現の一部であり、SNS上では「○○推し」を名乗ることで同担ファンとの交流も生まれる。Vtuber文化において最も基本であり、最も熱い感情を生む言葉。
■推し活
推しを応援するあらゆる活動の総称。配信の視聴、スパチャ、グッズ購入、SNSでの宣伝、二次創作、投票など、その形は多岐にわたる。推し活はファンにとって日常の一部であり、自己表現や生きがいの要素にもなっている。個人の行動が界隈全体を盛り上げる力を持ち、ファン同士のつながりを生む社会的活動とも言える。
■OBS Studio(オービーエススタジオ)
無料で使える配信・録画ソフトウェア。高い拡張性と安定性を誇り、Vtuberを含む多くの配信者が標準的に利用している。画面構成の自由度が高く、複数のシーンやソースを組み合わせて演出を作り込めるのが特徴。プラグインを導入すればコメント表示、アバター連動、配信通知など機能を拡張できる。プロレベルの配信環境を無料で構築できる点から、配信文化を支える基盤的ツールとして定着している。
■音声ミキサー
OBSなどの配信ソフトに内蔵されている、複数の音声ソース(マイク、BGM、ゲーム音、効果音など)を個別に調整する機能。音量バランスを整えることで聴きやすい放送を作ることができ、Vtuber配信においては欠かせない要素。ミスがあるとBGMがうるさすぎたり、声が聞こえないなどの「配信事故」に直結するため、プロ意識が問われる部分でもある。音の質は配信者の印象を左右するため、技術的スキルの一部として重視される。
【か行】
■顔バレ
中の人(配信者本人)の素顔や身元が明かされてしまうことを指す。SNSやリアルイベント、配信トラブルなどをきっかけに起こることが多く、Vtuber活動における最大級のリスクの一つ。意図的に公開する場合もあるが、多くは望まぬ形で発生し、炎上や活動停止に発展するケースも少なくない。Vtuber文化は「キャラクターとしての存在」を前提に成り立つため、顔バレはその幻想を壊しかねない。身元の秘匿は、キャラを守るだけでなく、本人の安全を守る意味でも重要である。
■課金
ファンがVtuberを金銭的に支援する行為の総称。スーパーチャット、メンバーシップ、グッズ・ボイス販売など多様な形がある。単なる支払いではなく「応援の表現」「愛の証」として文化的に定着しており、Vtuberの活動継続を支える経済的基盤でもある。推し活の一部として楽しむ層もいれば、生活を削ってまで支援する“ガチ勢”も存在する。
■仮想カメラ(VirtualCam)
OBSなどの配信ソフトの映像をZoomやDiscordなど外部アプリへ出力できる機能。コラボ配信やオンラインイベントで、アバターの姿を他アプリ上に反映させることが可能となる。Vtuber同士の雑談・会議や企業案件の収録などでも活用され、活動の幅を広げる便利なツール。仮想カメラ機能によって、Vtuberがリアルの会話や企画の中にも自然に「存在」できるようになり、現実とバーチャルの境界を曖昧にする技術的ブリッジの役割を果たしている。
■ガチ恋勢
Vtuberに対して本気で恋愛感情を抱くファン層を指す。推しへの熱意が非常に強く、配信やSNSの反応に一喜一憂する傾向がある。熱心な応援が活動の支えになる一方で、独占欲や嫉妬心からトラブルを引き起こすこともある。Vtuber側も「距離の取り方」に配慮しながら交流する必要があり、運営もガイドラインを設けている場合が多い。健全な憧れとして存在する限りでは文化の一部だが、境界を越えると社会的な問題にもなり得る繊細なファンダム。
■ガチ勢Vtuber
活動の中で数字、人気、収益、ファン満足度などを強く意識して行動するタイプのVtuber。努力家で戦略的な姿勢を持ち、目標達成のために配信時間・投稿頻度・企画力を綿密に管理する。自己ブランディングの意識が高く、プロ意識を持って活動する一方で、精神的な負担も大きい。ファンや同業者からは「本気の人」として尊敬される存在であり、Vtuber界の競争を牽引する原動力でもある。
■ガワ
Vtuberのアバターの外見デザインやモデル自体を指す俗称。「中身と外見」を分けて語る際のファン用語。中の人(魂)に対して「ガワ(皮)」と呼ばれる。ガワの完成度や表現力はVtuberの魅力を左右する。人気デザイナーによるガワはブランド価値を持ち、同じ制作者のモデルがファンの間で注目されることもある。
■切り抜き
配信の面白い場面や名言を短く編集して投稿した動画。公式・非公式を問わず多数存在し、拡散力の高さから新規ファン獲得に大きく貢献している。特に初心者には「入門編」として人気があり、切り抜きを通じて推しの魅力を知るケースも多い。運営が公式に切り抜きを許可するガイドラインを出すこともあり、文化として完全に定着している。切り抜き職人の編集センスや字幕演出も注目されるようになっており、二次創作の一形態として評価が高い。
■グループ
複数のVtuberが集まり、共通のテーマや活動方針で活動するユニット。必ずしも事務所に所属しているわけではなく、友人同士や趣味仲間による自発的な結成も多い。コラボ配信や共同イベントなど、チームとしての掛け合いが魅力で、グループ内の関係性や化学反応が人気の源になる。個人のキャラが際立つほどバランス感覚が問われ、グループ全体での「物語性」も形成される。ファンにとっては“箱推し”の起点になる存在。
■限界オタク
推しに対する感情を爆発的に表現するファンのこと。嬉しさや尊さをあまりに強く感じて、過剰なテンションで語る姿がSNS上でネタ化している。「語彙力が消失した」状態でツイートするのが定番で、「助けて」「尊い」「限界」などの言葉がよく使われる。ファン同士の共感を呼び、ユーモラスに自己表現する文化でもある。単なる過剰反応ではなく、Vtuberとファンの距離感の近さが生む“情緒の溢れ”を象徴している。
■個人勢
企業や事務所に所属せず、すべてを自分で管理して活動するVtuber。配信機材、モデル制作、広報、収益化などを自主的に行うため、自由度が高い一方で責任も重い。独自の世界観やファンとの距離の近さが魅力で、アットホームな空気感を好むリスナーに人気がある。成功すれば活動の自由と収益の両立も可能だが、安定性やサポート体制の面では企業勢より不利なことも多い。
■コラボ
複数のVtuberが共演して行う配信・動画企画。ゲーム実況、雑談、歌コラボ、企画番組など内容は多岐にわたる。キャラクター同士の掛け合いや初対面の化学反応が見どころで、双方のファンが交わる交流の場にもなる。コラボを通じて知名度が広がり、新たなファン層を獲得する機会にもなる。企画力や相性が成功を左右するため、準備や演出が重視される。
【さ行】
■晒し
配信者の発言や行動を悪意をもって切り取り、SNSなどに拡散する行為。Vtuber活動における重大なリスク。失言だけでなく、内部情報の流出やプライベート写真なども対象になる。拡散スピードが速いため一度起こると制御が難しく、運営の対応が問われる。晒しは視聴者間の対立を生むこともあり、ファンコミュニティの健全性を保つためにも、冷静なリテラシーが求められる。
■三面図
Vtuberアバターを制作する際に用意される、正面・側面・背面の設定資料。髪型や服の構造、色の配置などを正確に描き、モデル化の基準とする。Live2Dや3Dモデルの完成度を左右する最重要データであり、デザイナーとモデラーの共通言語とも言える。
■事務所勢
個人勢とは異なり、事務所に所属するVtuberを指す。機材やマネジメントの支援が手厚く、デビュー初期から大きな注目を集めやすい。安定した配信スケジュールや企業案件の多さも特徴。事務所のブランド力によって一定の信頼感があり、コラボなども活発に行われる。一方で、自由度が制限される面もあり、個人勢との文化的な差異が語られることも多い。
■シーン
OBSで作成される画面レイアウトの単位。ゲーム画面・雑談画面・配信終了画面など、配信内容に応じて複数のシーンを用意し、ボタンひとつで切り替えることができる。演出や雰囲気作りの基本となり、照明や背景、文字配置の工夫によってプロ並みの配信演出が可能となる。熟練者ほどシーン管理が上手く、配信のテンポが良い。
■新人潰し
デビューしたばかりの新人Vtuberに対し、悪意を持った荒らし行為や低評価爆撃、誹謗中傷を行う現象。本人のモチベーションを奪うだけでなく、ファン同士の対立を煽る原因にもなる。多くは匿名の悪意から生まれるが、同業者の嫉妬や過剰な競争意識が背景にある場合もある。
■ステルス企業勢
企業所属でありながら、あえてそのことを隠して個人勢として活動するVtuber。企業のバックアップを受けつつ、自由度の高い個人勢のように見せることで柔軟な発信を可能にするスタイル。マーケティングやブランディングの戦略として行われる場合が多い。
■ソース
OBSで扱うシーン内の構成要素。映像・画像・ウィンドウキャプチャ・音声・テキストなどが含まれ、複数を重ねることで配信画面を構築する。たとえば、ゲーム画面を背景にアバターやコメント欄を配置し、BGMを加えるといった形。ソースの組み合わせ次第で演出の幅は無限に広がり、配信者のセンスが最も表れる部分でもある。効率的に管理することで、スムーズなシーン切り替えや演出効果が実現できる。
【た行】
■耐久配信
「歌枠で○○曲歌う」や「高評価○○件獲得」、「ゲームクリア」など特定の目標を掲げ、達成するまで続ける配信。長時間になることが多く、体力と集中力が試される。過酷である反面、ファンとの絆を深めるイベントとして人気が高い。リスナーは励ましやスパチャを送り、配信者の挑戦を支える一体感が生まれる。
■台パン
ゲーム中やトーク中に興奮や怒りから机を叩く行為、またはその効果音。ネタとして定着しており、リスナーに好意的に受け止められることも多い。切り抜き動画で拡散される定番リアクションのひとつであり、個性を印象づける場面でもある。Vtuberにおける一つの感情。
■助かる
配信中のくしゃみ、咳、笑い声、息遣いなど、日常的で人間味のある反応に対してリスナーが送る感嘆・感謝のコメント。由来は「○○助かる(=生きる糧になる)」というネットスラングで、ファンの喜びや感動を軽妙に表現する文化。単なる反応コメントでありながら、キャラの魅力を強調し、コミュニティの一体感を生む。無意識の仕草すら推せるという、Vtuber視聴文化の象徴的な表現でもある。
■デビュー
Vtuberとして初めて公式に配信や動画を公開すること。キャラクターの設定・世界観・声・挨拶などを初披露する重要な節目であり、ファンにとっても「誕生の瞬間」として祝われる。多くの場合、事前に告知・ティザー動画・カウントダウンなどで期待が高められる。デビューは活動の方向性を決定づけるイベントであり、初配信の印象がその後の人気を左右することも多い。
■TO(トップヲタ)
「Top Otaku(トップオタク)」の略。ファンコミュニティの中で特に熱心なファン、いわゆる「最上位の推し活勢」を指す。配信への参加率、スパチャ額、SNSでの宣伝活動などが突出しており、他のリスナーにも名前を知られていることが多い。TOの存在は配信文化を牽引する一方で、影響力が大きいため言動には注目が集まる。良識的なTOはコミュニティの模範となるが、過剰な行動はトラブルを生むこともある。
■同接
「同時接続視聴者数」の略。配信中にリアルタイムで視聴している人数を表し、人気や話題性の指標とされる。数字が高いほど注目度が高く、SNSでも話題になりやすい。Vtuber本人もモチベーションを左右される部分であり、同接を伸ばすために企画構成や配信時間を工夫することもある。数字文化の一面として肯定も批判もあるが、リアルタイム性の象徴的指標であることに変わりはない。
■トランジション
シーンを切り替える際のアニメーション効果。フェード、スライド、クロスディゾルブなどがあり、演出面での完成度を高める要素。滑らかな切り替えは視聴者の没入感を維持し、プロフェッショナルな印象を与える。Vtuberによってはオリジナルのトランジション演出を用意し、ブランド的なこだわりを見せることもある。
【な行】
■中の人
アバターを演じている実際の人物。公の場でその存在を直接語ることは少なく、ファンの間では「魂(たましい)」として呼ばれることも多い。中の人の個性や人生経験がキャラに反映されることで、リアルとフィクションが融合する魅力が生まれる。ただし、身バレ防止や秘密保持は活動の前提であり、最も慎重に扱われる領域。
■泣き芸
感動や失敗、あるいは過剰な感情表現として涙を見せるリアクション。真剣さや人間味を感じさせる演出であり、ファンの心を強く動かす。自然な涙か演出かはしばしば議論の的となるが、結果的にドラマ性を高め、切り抜き動画で拡散されやすい。
■鳴き声(口癖)
キャラクターの個性を際立たせる特徴的な発声や反応語。(「にゃ!」や「なのだ!」など)ファンが真似をしてコメントしたり、スタンプ化されるなど、コミュニティ内での共有文化が生まれる。キャラ性を強調するだけでなく、リスナーとの合言葉として機能することもある。
■投げ銭
ライブ配信中に視聴者が配信者へ金銭的支援を送る仕組み。YouTubeではスーパーチャット、Twitchではビッツやサブスクなど、プラットフォームごとに形式が異なる。投げ銭は単なるお金のやり取りではなく、「感謝」や「応援」を直接表現する文化的行為として定着している。特定の場面(感動・達成・誕生日など)で一斉に投げ銭が飛び交う光景は、Vtuber文化特有の祝祭的な瞬間である。
■生配信
リアルタイムで行われる放送形式。コメントのやり取りを通じて視聴者と直接交流できる点が最大の魅力。Vtuber文化の中心的活動形態であり、同時性・即興性が醍醐味。アーカイブとして残ることも多く、リアタイ勢とアーカイブ勢の文化が共存している。
■ニコニコ文化
コメント弾幕、MAD動画、空耳、職人技など、ニコニコ動画黎明期に生まれたネット文化全般を指す。Vtuberの演出やノリの源流となっており、現在のYouTube文化にも強く影響を与えている。特にコメントによる「共体験」の感覚は、Vtuber配信文化のDNAといえる。
【は行】
■配信エンコード
映像や音声をリアルタイムで圧縮し、配信サイトへ送信する処理。Vtuber配信では高画質・低遅延・安定性の三要素をバランスよく保つことが重要で、CPUやGPUなどハードウェアの性能に大きく依存する。設定によっては画質が粗くなったり音ズレが起こるため、最適化の知識が求められる。
■配信事故
予期せぬトラブルや失敗が配信中に発生すること。マイクや映像の不具合、機材トラブル、プライベート音声の流出など、原因は多岐にわたる。深刻な場合は炎上や謝罪配信に発展することもあるが、軽度な事故は「かわいい」「人間味がある」と受け止められ、逆に好感度を上げるケースもある。とはいえ安全管理や注意力は不可欠で、運営体制の成熟度を測る指標にもなる。
■配信タグ
XなどのSNS上で配信に関連する投稿をまとめるためのハッシュタグ。(「#〇〇配信」「#〇〇生放送」など)ファンが感想やスクリーンショット、ファンアートなどを共有しやすくする役割を持つ。ファンが気軽に交流できる可視化の場として、ブランド形成に大きく寄与している。タグ運用の上手さは、ファンコミュニティの活発さに直結する。
■箱推し
特定の1人ではなく、所属事務所やグループ全体を応援するファン層を指す。ホロライブやにじさんじなど、複数タレントが在籍する箱文化の発展に伴って定着した概念。コラボ配信や全体イベントを楽しみやすく、組織としての成長を支える安定した支持基盤となる。一方で、内部の競争や派閥に左右されにくい穏やかなファン層でもある。箱推しは“箱そのものが好き”というスタンスから、ファン同士のつながりも生まれやすい。
■初配信詐欺
「初めての配信」と銘打ちながら、実は非公開テストや限定配信を事前に行っていたことを指す。あくまでネタ的な表現で、悪意を伴わないことが多い。Vtuber界隈では定番ジョークとして親しまれており、「実質2回目じゃん!」などのコメントが恒例化している。配信初心者にありがちな練習やテスト放送を微笑ましく受け止める文化でもある。
■パリコレ
3Dモデルの新衣装やアクセサリーを次々と披露する企画を指す俗称。華やかな見せ場であり、ライブイベントの一種として人気が高い。衣装ごとにファンが歓声やスパチャを飛ばし、チャット欄が祝福で埋まる。Vtuberの「ビジュアルアート」としての魅力が最大限に発揮される舞台。
■BAN
配信プラットフォームの規約違反などにより、チャンネルやアカウントが停止されること。著作権侵害・不適切発言・スパム行為などが主な原因。BANのリスクを避けるため、多くの配信者がガイドラインや使用素材の確認を徹底している。
■反応芸
コメントや出来事に対する大げさで感情豊かなリアクションを指す。驚き・笑い・焦り・照れなどを誇張して表現することで、エンタメ性が増し、視聴者の共感や笑いを誘う。切り抜き動画でも特にウケが良く、「リアクション芸人」として親しまれるVtuberも多い。
■プラグイン
OBSなどの配信ソフトに追加できる拡張機能。コメント表示、アバター連動、ノイズ除去、音量自動調整など、Vtuber配信に便利な機能を追加できる。代表的なものに「OBS VirtualCam」や「Move Transition」「Audio Monitor」などがある。プラグインの活用により、画面演出の幅が大きく広がり、配信のクオリティ向上につながる。導入や設定には一定の技術知識が必要だが、自分好みの環境を作れる自由度が魅力。
■PON
配信中のうっかりミスや操作ミスなどを指すVtuber界隈のスラング。「ポンコツ」「ドジっ子」といった愛されキャラの意味で使われることも多く、ファンとの距離を縮める要素にもなる。一方で、あまりに頻繁だと実力不足に見えることもあるため、笑いに変えるバランスが大切。
【ま行】
■魔王ムーブ
ゲーム実況や雑談配信などで見られる、圧倒的な自信やカリスマ性を演出する行動・発言を指す。いわゆる「俺様キャラ」や「支配者ポジション」を誇張して見せることで、配信全体のテンションを高める効果がある。意図的に演技として行う場合もあれば、天然のカリスマ性が滲み出てそう呼ばれる場合もある。
■マシュマロ
匿名で質問やメッセージを送れるサービス。リスナーがVtuberに直接メッセージを届けられる手段として定番化しており、「お便りコーナー」「質問回答配信」などで活用される。匿名性ゆえに率直な意見や相談が届く一方、誹謗中傷や悪意ある投稿が混じることもあるため、運用には注意が必要。Vtuberと視聴者をつなぐ、SNS以外の重要な交流ツール。
■祭り(イベント配信)
誕生日、デビュー周年、3Dお披露目など、特別な節目に行われる記念配信。普段よりも演出が豪華で、ゲスト出演やライブ演奏、重大発表などが行われることもある。チャット欄にはお祝いコメントやスパチャが飛び交い、リスナーが一体となって盛り上がる“年に数回の大祭り”のような存在。
■マネージャー
事務所所属のVtuberに付き、スケジュール調整・案件交渉・トラブル対応・SNS管理などをサポートする担当者。配信者の“裏方パートナー”として活動を支える存在であり、精神面でのケアや相談役としても機能する。
■マルチ配信
複数の配信プラットフォーム(例:YouTube、Twitch、ニコニコ、ツイキャスなど)で同時に配信を行うこと。視聴者層を広げられる利点があるが、コメント管理や規約遵守など運用面の難易度も高い。各プラットフォームの配信規約に違反しないよう注意が必要で、特にTwitchでは同時配信が制限されるケースもある。
■無音枠
声を出さず、ゲーム音や環境音、作業音だけで進行する配信スタイル。ASMR的な心地よさや「作業BGM感覚」で人気を集める。視聴者は静かな時間を共有しながらコメントで交流し、独特の癒やし空間が生まれる。声を休めたいときや深夜帯に行われることが多く、リスナーの生活リズムにも寄り添う新しい形の配信文化。
【や行】
■焼肉配信
実写で食事風景を配信することをネタ的に呼ぶ言葉。普段はアバター活動を中心とするVtuberが、現実の食事風景を見せることでギャップを演出する。身バレや規約上のリスクもあるためレアだが、開催されると大きな話題を呼ぶ。
■病み営業(やみえいぎょう)
ネガティブな発言や情緒不安定な振る舞いを通して、視聴者の同情心や保護欲を引き出すスタイル。ヤンデレ的な言動で「支えてほしい」ムーブをすることで、高い人気や売上を得る場合もあるが、長期的にはコミュニティが不安定になりやすく注意が必要。
■闇落ち
普段明るいキャラクターが、突然シリアスな言動やダークな人格を見せること。物語的な演出としても、ネタとしても人気が高い。闇落ちモードに入ると口調やBGMが変わるなど、演出にこだわる配信者も多い。
■やらかし
配信中のトラブルや失言、技術的ミス、意図せぬ放送事故などを総称する言葉。炎上の火種になることもあるが、軽度のものは「ネタ」として受け入れられる。特に個人勢では機材トラブルが頻発するため、やらかしもキャラの一部として愛されることが多い。
■養分
スパチャやグッズ購入などを頻繁に行うファンを自虐的に指す俗語。ファンが冗談交じりに言うことで、経済的支援を誇りに変える文化的ユーモアがある。外部から揶揄的に使われることもあるが、内輪ではポジティブな自己認識として機能している。
【ら行】
■ランダム歌枠
リスナーからのリクエストやランダム選曲ツールを使い、即興的に曲を歌う配信企画。予測不能な展開が魅力で、ファンとの一体感が生まれやすい。アドリブ力や対応力が試される場でもあり、思わぬ神回が生まれることもある。リスナー参加型の代表的コンテンツ。
■リアクション芸
驚き・笑い・泣きなど、感情を大げさに表現することで視聴者を楽しませる技術。エンタメ性を高め、切り抜きやショート動画でも印象に残る。特に「初見リアクション」は人気が高く、Vtuberの魅力を最大限に伝える場面。自然な感情表現と演技の境界が曖昧なところに、人間味と物語性が宿る。
■リアコ
「リアルに恋をしている層」の略で、Vtuber本人(中の人含む)に恋愛感情を抱くファンを指す。キャラクターとしてではなく、人格や声、言動そのものに惹かれているのが特徴。いわゆるガチ恋勢と重なる部分もあるが、リアコはより“現実的な恋愛”として意識されることが多い。恋愛対象として見てしまうため、嫉妬や情緒の揺れが強くなることもある。ファン心理としては自然な感情でありながら、境界線の引き方が難しい繊細な立ち位置。
■リスナー
Vtuberの配信を視聴し、コメントやスパチャで関わるファン全般。配信者にとっては相棒であり観客であり、文化の共作者でもある。特定のVtuberごとにファンネームが設定されることが多く、コミュニティの一員としての誇りを持つ。リスナーが温かいほど、配信の空気も良くなる。
■ログボ
「ログインボーナス」の略。ファンが毎日配信を視聴することを、ゲーム的に例えたネットスラング。「今日もログボもらいに来た」といったコメントが定番。Vtuberを日常の一部として習慣的に追う文化を象徴しており、リスナーの生活リズムと結びついている。
■ロールプレイ
Vtuberが自らのキャラクターになりきって発言や行動を行うこと。世界観を維持することで没入感を生み、視聴者に「物語の中の存在」として認識される。TRPG配信や物語系V企画でよく見られ、演技力が求められる要素。ロールプレイを貫くことで「キャラとしての一貫性」を保ち、ファンの信頼を築く。
【わ行】
■ワイプ芸
配信画面の片隅に小さく表示される自身のアバターリアクションを活用した演出。ゲームプレイ中やコラボ中に表情が切り替わることで笑いを誘うことが多い。リアルタイムの反応を視覚化できるため、配信全体の臨場感を高める。
■枠(配信枠)
YouTubeなどで配信を行うために立てる「部屋」や「スロット」。事前に予約枠を設定することでリマインダーが送られ、ファンが待機できる。枠タイトルやサムネイルは視聴者の期待を左右する重要な要素。配信後にはアーカイブとして残り、コメントも引き継がれる。
■わちゃわちゃ
複数人のコラボ配信などで、賑やかに盛り上がる様子を表す言葉。騒がしくも楽しい空気感をポジティブに示し、リスナーが微笑ましく見守る雰囲気を作る。会話が入り乱れるカオス感も含めて魅力とされ、チーム感や友情を感じさせる要素。特に大型コラボでは“わちゃわちゃ回”が名物化することも多い。
■ワールド(VRChat等)
Vtuberが活動する仮想空間や3Dステージのこと。ライブやイベント、コラボで使用され、没入型の体験を提供する。ワールドの作り込みによって演出のスケールが変わり、ファンとの交流にも活かされる。
■ワンオペ配信
運営やスタッフのサポートを受けず、配信者本人が機材操作・演出・進行すべてを行う形式。個人勢に多く、自由度が高い反面トラブルも多い。マイクや音声、画面トラブルが起きても自力で対応する必要があり、技術力と根性が試される。失敗も含めて“手作り感”が魅力として受け入れられている。
