Vtuberが知っておくべき権利関係の解説

🌱 はじめに

配信は、イラストや音楽、ゲームなど、さまざまな著作物を扱う総合的な創作活動です。そのぶん、他人の権利を知らないうちに侵害してしまうリスクが常につきまといます。例えば以下のようなものがあります。

  • ゲーム会社のガイドラインを無視して実況を配信し、動画が削除された
  • 他人が描いたファンアートを無断でグッズに使い、著作権侵害を指摘された
  • BGMサイトの利用規約を誤解して、収益化動画に使ってしまった

こうしたトラブルは「知らなかった」では済まされません。著作権や契約違反は、最悪の場合、配信停止や損害賠償に発展することもあります。一方で、権利関係を正しく理解すれば、自分の活動を守り、より自由に創作することもできます。「難しそう」と感じるかもしれませんが、基本を押さえるだけでもリスクを大きく減らせます。

🖌️著作権に関して

✅ 著作権とは?

「創作した人の作品を勝手に使われない権利」


音楽、イラスト、小説、ゲーム、映像など、創作性のある表現には自動的に著作権が発生します。登録や申請の必要はありません。著作権は、創作した人の努力と表現を守るための仕組みであり、同時に他人の作品を利用する際のルールを定めるものでもあります。

🚨著作権に関するよくあるNG例

〇 Vtuberモデル

  • モデルの表情差分を自身で勝手に作成、他のモデラ―に実装をお願いした
  • 商用利用可能かどうかを確認せず、グッズを作成した
  • 転生や再デビューをしたいのにモデルを引き継げない
  • クレジット表記を省略・削除してしまった

〇 ゲーム関連

  • 配信、実況の許可を取らずにプレイしてしまった
  • 公式が許可していない海外・同人・インディーゲームを無断配信
  • 企業案件配信で「個人向けガイドライン」を誤用
  • ゲーム素材(スクショ・アイコン・キャラ画像)をグッズに流用

〇 アニメ・映画・ドラマ関連

  • 同時視聴をするためにアニメや映画をそのまま配信で使用した
  • 配信でアニメを同時視聴したが、公式の許可がなかった
  • アニメや映画の音声をネタ素材として使用
  • 配信で流したBGMや映像に、別の権利(音楽著作権・放送権)が含まれていた
  • Xで返信をするときにアニメの1シーンのスクショを投稿

〇 BGMや効果音

  • 商用利用不可のフリーBGMを配信や動画で使用した
  • クレジット表記を忘れた/誤った
  • 有料サイトで購入したBGMを他の人に共有した
  • BGM配信で第三者から著作権申立(Content ID)を受けた

〇 歌ってみた・歌枠配信関連

  • 原曲の著作権を確認せずに歌った/投稿した
  • カラオケ店にて音源を無断使用(配信・動画化)した

〇 配信素材(背景画像・素材・フォントなど)

  • 商用利用不可の素材を配信に使った
  • フォントを無断で商用利用した
  • クレジット表記を忘れた/誤った
  • 有料素材のライセンス範囲を誤解した

〇 ファンアートなど他人がくれたイラスト等

  • もらったイラストを無断でグッズ化した
  • ファンアートを無断で改変した
  • ファンが他人の作品を盗用していた
  • クレジット表記をせずに使用した

〇 コラボ配信

  • コラボ相手の映像を無断で切り抜き・再利用した
  • コラボ相手の発言を切り抜いてSNSで拡散した
  • 配信後にアーカイブ削除をめぐって揉めた

〇 切り抜き動画

  • 許可なく切り抜きを投稿された
  • 収益化を巡るトラブルが発生した

〇 二次創作

  • 二次創作グッズを無断で販売された
  • 性的・暴力的な表現を含む創作物が拡散された

📃「引用」と「無断使用」の違い

配信や動画で他人の作品を紹介する際、「引用だから大丈夫」と思われがちですが、実際には厳密な条件があります。引用は、自分の意見や解説を補足する目的で、必要な範囲に限り他人の著作物を使うことが認められる例外です。

引用が成立するには、

  • 自分の発言が主、引用部分が従であること
  • 出典を明記し、どこからどこまでが引用か明確にすること
  • 必要最小限の範囲にとどめること

が必要です。例えば、アニメの一場面を分析するために短く紹介し、出典を明記するのは引用の範囲ですが、配信の背景や演出に使うのは無断使用となります。

【補足】
引用は「紹介」、無断使用は「流用」。この違いを意識することが、トラブルを防ぐ第一歩です。

🧍‍♀️肖像権に関して

✅ 肖像権とは

本人の同意なく写真や映像などでその人の姿を使用されない権利。

実在する人物の顔・体・服装など、本人を識別できる画像を勝手に使うと、この権利を侵害する可能性があります。

Vtuberの配信でも、実在の人間の写真や動画を素材として扱う場面には注意が必要です。たとえば、ミーム画像・有名人の写真・街中で撮影した他人の姿などを無断で配信やサムネイルに使用すると、肖像権の侵害となる恐れがあります。特に有名人の写真は商業的価値を持つため、収益化配信やグッズなどに使うと訴訟リスクに繋がります。

【注意】
「ネットで見つけた画像だから」「ネタとして使っただけ」といった理由では免責されません。実在人物の写真や映像を使う場合は、著作権だけでなく「その人の権利」も関係することを理解し、使用前に必ず許可を取るか、フリー素材など安全な代替を選びましょう。

🚨肖像権に関してよくあるトラブル

  • ネットで拾ったミーム画像をサムネイルに使った
  • 実在の芸能人・有名人の写真を配信素材に使った
  • 街中で撮影した写真に一般人の顔が写り込んでいた
  • 肖像を使った冗談や比較ネタで炎上した

💼商標・ブランドに関して

✅ 商標権とは

「企業名・商品名・サービス名・ロゴマーク・キャッチコピー」などを識別するための「ブランドの印」を保護するための権利。

たとえば「スターバックス」「ポケモン」「YouTube」などの名前やロゴは、すべて商標として登録されており、権利者以外が無断で使うことはできません。

Vtuber活動においても、チャンネル名・キャラクター名・配信企画名・オリジナルロゴなどが、商標やブランドの一部として扱われることがあります。もし他社の商標と類似した名前やロゴを使ってしまうと、「公式と関係がある」「公認配信のように見える」と誤解されるおそれがあり、「商標権侵害や不正競争行為(混同を引き起こす行為)」としてトラブルに発展する可能性があります。

📝 商標権を登録する

自分のブランドを守るために、活動名やグループ名の商標登録を検討することも有効です。

商標を登録しておけば、他者が同じ名前で活動するのを防ぎ、公式としての信頼性も高まります。活動名・ロゴ・コラボ企画名などを使用する際には、必ず商標データベース(J-PlatPatなど)で既存登録を調べ、「他者の権利を侵害していないか」「自分の名前を守る必要があるか」を確認しておくことが大切です。

🚨 商標権に関してよくあるトラブル

  • 他社の商品名をタイトルや配信名に使った
  • 他社ロゴをサムネイルやグッズに入れた
  • 自分の活動名が既存の商標と重複していた
  • コラボ企画で企業ロゴを無断で使用した

🔒プライバシー・情報の扱いに関して

✅ プライバシー・情報の扱いとは?

プライバシーとは、個人が自分の情報をコントロールする権利のことを指します。

配信では、何気ない画面共有や雑談から、住所・本名・学校・勤務先などの個人情報が漏れてしまうことがあります。こうした情報は一度公開されると完全に消すことが難しく、誹謗中傷・なりすまし・特定被害につながる危険性もあります。

また、他人の個人情報にも十分な配慮が必要です。DMやLINEの内容、視聴者の個人名、コラボ相手の非公開情報などを許可なく公開すると、プライバシー侵害や守秘義務違反にあたる場合があります。特に企業や事務所に所属している場合、契約上の「秘密保持義務(NDA)」を破ると、損害賠償を請求されることもあります。

🚨プライバシー・情報の扱いに関してよくあるトラブル

  • 通話券で知り得た情報を喋ってしまった
  • 画面共有で個人情報が映り込んだ
  • SNSで身バレにつながる投稿をした
  • 他人のDM・チャットを無断で公開した
  • 配信画面に他人の名前やメッセージが表示された
  • 企業・内部資料をうっかり配信画面に映した

🤖AI・生成コンテンツなどの新しい権利問題

✅ AI・生成コンテンツの権利

近年、AI技術の進化により、画像・音声・動画などを自動生成するツールが急速に普及しています。Vtuber活動でも、AIで生成した立ち絵・背景・ボイス・台本などを使うケースが増えていますが、AI作品にはまだ法的な整理が追いついておらず、従来の著作権とは異なる注意が必要です。

AI生成物には、「著作権が発生しない」「生成元のデータに他人の著作物が含まれる」といった特殊な問題があります。たとえば、学習に使用されたデータが無断で収集されたものだった場合、そのAIを利用して生成した素材にも著作権侵害の疑いが及ぶ可能性があります。

🚫 Vtuber界隈では使わないのが推奨

Vtuber界隈ではAIに対して否定的な風潮も少なくありません。

「人の手で作られた創作物を尊重する文化」が根強く、AI生成素材の使用が「クリエイターの努力を軽視している」と受け止められる場合もあり、技術的な正当性よりも「倫理的・文化的な配慮」が重視される傾向があります。

安心して活用するためには、AIを「補助ツール」として扱い、出典・規約・生成経路を明示する姿勢を持つことが、信頼される活動につながります。

🚨AI・生成コンテンツなどのよくあるトラブル

  • AI生成イラストをサムネやグッズに使って炎上した
  • AI生成物を「自作」と誤解されてトラブルになった
  • AI生成素材が利用規約違反だった

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